①データ活用
連続的(アナログ)から離散的(デジタル)なデータに変換させることで、さまざまなメリットが発生します。とくにデータ活用は、デジタル化における最大のメリットといえるのではないでしょうか。
たとえば医療機関のカルテには、個人の氏名や年齢、既往歴や病状などが、アナログなら同一書式の紙媒体に、デジタルなら電子カルテに記入されています。
もしも、
「今年、患者Aに対してC療法を行った日数は?」
という情報が必要になったとき、アナログのカルテはC療法に関する特記欄を設けていなければ、記憶を頼りに何枚ものカルテをめくり、その中から該当日を抜き出していかなければなりません。しかしデジタルデータなら、検索欄に「C療法」と入力してクリックするだけで、その情報がパッと出てきます。
複数のデータ群の中からある要素に該当する情報を抜き出したり、異なる要素を組み合わせて検索することもできます。
たとえば、
「5月に来院した、50歳以上の、消化器症状がある患者の数」「外科症状で入院した患者のうち、入院期間が1カ月以上の患者の数」
というふうに、バラバラのデータを統合した新しいデータを作成できることも、離散的なデジタルデータのメリットです。
②データの送受信・共有
情報化が進んだ現代では、ネットワークを通していつでも・どこにでも情報を送信したり共有したりできます。これもデジタルデータの大きな強みです。
たとえば東京に工場を持つ義肢装具製作会社の社員が沖縄に行ったとき、たまたま現地の野球選手と知り合いになり、オーダーメイドインソールの製作を依頼されたとします。
その場で手作業で採寸し、設計を済ませ、書類一式を速達で郵送したとしても、東京の工場に届くまで最低1日はかかります。
しかし3Dスキャナーで足の形を取り込み、パソコンで設計したデータなら、インターネット回線を使って瞬時に工場へ届けることができます。工場にいる社員たちはその日のうちに製作に取りかかることができるため、受注から製作までのタイムラグをなくし、納品期間を短縮できます。
③保管・保存・再現
物理的なメリットもあります。
紙やテープを媒体とするアナログデータは保管場所が必要ですが、デジタルデータはパソコンやCD─R、USBフラッシュなどに保存できるため、保管場所を大幅に縮小できます。
また、紙やテープは経年劣化を避けられず、コピーや再生を繰り返すと画像や音の鮮明さが薄れてしまいますが、電子データは時間経過によって劣化することはありませんし、どれだけコピーや再生をしても質が変化することもありません。
さらに手作業で製作する場合、同じ物を作ろうとしても、まったく同じ物を作ることは不可能です。どれほど頑張っても一つひとつが微妙に違う物になってしまいます。
ところがデジタル機器を使えば、まったく同じ物を製造することができます。もしも人間国宝に指定された職人の製作工程を完全にデジタルデータ化することができれば、たとえ小学生であっても、製作開始ボタンを押すだけで、人間国宝が作った作品と同じモノが作れてしまうのです。