まず、アナログとデジタルの製造工程の違いを見てみましょう。
アナログのみの製造工程は次のようになります。
①問診、触診で足の状態(痛みや関節可動域)をチェックする。フットプリントで立位時と歩行時の足底の高圧点を把握する。
②足長計で足長を、巻き尺で足囲をはかる。
③トリッシャムで足底の型を採り、陰性モデルを作成する。陰性モデルに石膏を流し込み、硬化後に修正を施して陽性モデルを作成する。
④陽性モデルを元に材料を削り出し、手作業で微調整を行う。
⑤実際に装着、歩行し、適合状況を確認する。
学校で学んだ通りの手法ですが、はじめのうちは調整に時間がかかるなど、個人の経験や技術力によって差が出ることもあるでしょう。
オーダーメイドの類義語に「ビスポーク(bespoke)」という言葉があります。昔はテーラーが顧客から注文を受けて「話をしながら」服を仕立てていたため、be speakから派生した言葉であると言われています。
インソールのオーダーメイドも同じです。靴職人は顧客の足のサイズを測って木型を作っていましたが、足の裏や甲の微妙な凹凸までは再現できません。そのため試作をつくりフィッティングをして顧客の感想や要望を聞き、調整をして再度試作をつくって──を何度も繰り返していたため、一つの靴が仕上がるまで数カ月が必要だったのです。