デジタル化のメリットの一つに「データ活用」があることは、すでにお話しました。
デジタルデータは、義肢や装具を納品した後の〝アフターケア〟にも役立ちます。たとえば患者さんごとに氏名や病歴、義肢・装具の作製日、調整内容、作製から再製までの日数等のデータを一元的に管理するデータベースを作製しておけば、
「そろそろAさんの靴底が削れて歩きにくくなっているかもしれない。連絡をしてみよう」
という配慮が可能になります。
本人が不具合を感じて連絡してきたころには、すでに靴底が大きく歪んでいるかもしれません。それはつまり、連絡が来るまでの間、患者さんはその歪んだ靴を履いて過ごし、身体に少しずつ悪い影響を受けているかもしれないのです。
製作した側の責任として、それは絶対に避けなければなりません。納品した義肢や装具のことを最もよく理解しているのは義肢装具士であり、納品後のサポートができるのも、義肢装具士だけなのです。